今回は”障害者戦力化サポートサービス”を展開する株式会社ニュータイプ・ラボの上野部長にインタビューさせていただきました。学生時代の経験と、”オフィスで働きたい”という障害を持つ子どもたちの想いに突き動かされ、邁進する上野さん。株式会社ニュータイプ・ラボのサービスの強み、上野さんを突き動かした過去についてなど、お話を聞かせていただきました。
- 株式会社ニュータイプ・ラボー在宅ワークで、障害をお持ちの方も企業様も笑顔に
- 株式会社ニュータイプ・ラボー五島列島での地方創生事業
- 株式会社ニュータイプ・ラボーコンサルを通して見える変化
- 上野さんのターニングポイント①ー障害者福祉に導いてくれた学生時代
- 上野さんのターニングポイント②ー子どもたちの未来をつくる!子どもたちが自ら選んだ仕事に就くために
- 今後は個人としても活動をーエンターテイナー/コンサルとして
株式会社ニュータイプ・ラボー在宅ワークで、障害をお持ちの方も企業様も笑顔に
はじめまして、今日はよろしくお願いします!
上野さんは、”部長”と言うことですが、どのようなお仕事で部長さんをされているのですか?
私の所属する株式会社ニュータイプ・ラボは、”障害者戦力化サポートサービス”として、企業様の法定雇用率達成向けた、採用・マネジメント・教育に関するオーダーメイドのコンサルティングをさせて頂いております。
障害者雇用を行うにあたり、企業様のお困りごとや課題や状況に合わせて、障害者人材のご紹介から雇用後の業務切り出し、マネジメントのサポート、受け入れ部署の選定から、研修・ご本人のスキルアップ支援など、私共は、障害者雇用の先にある、雇用率だけでない「障害者雇用の戦力化」を進めるべくオーダーメイドのコンサルティングをさせて頂いております。
わたくしは、この事業部長として、企業様へのコンサルティングに加え、部下のサポートをしております。
障害者の方の戦力化については、企業からのお問い合わせは多いですか?
そうですね、2021年3月から法定雇用率が引き上げられたこともあり、お問い合わせは増えていますね。
また、新型コロナの影響で業績が悪化し、結果的に障害者の方の業務が減ってしまい、「仕事が減らされて、このまま雇用されるか不安」、「労働時間が減らされてしまい、生活できない」、「お給料が減ってしまって、この金額だったら、障害者年金の方がマシかもしれない」などの理由で、退職される方も増えているようです。その結果、企業様から「障害者の方の定着に注力したい」というお声を多く頂戴するようになりました。
※厚生労働省:障害者雇用対策
このような状況下で、上野さんの会社が選ばれる理由は何ですか?
はい、私たちは「誰もが自分に合った働き方を選べ、力を発揮できる社会」を目指しているんですね。どうしたら、障害者の方々や引きこもりの方々が「力を発揮できる社会」を作れるのかという課題に対して、新型コロナが蔓延する以前から、”在宅ワーク”を推進してきました。
「電車が苦手」、「多くの人がいると集中できない」など、”通勤して働くこと”が苦な方々は、オフィスなどより、在宅で働いていただいた方が、成果が出る可能性があるんです。
これは、障害者の方や引きこもりの方だけの話ではなく、ワーキングマザー、シングルマザー、家族を介護する方(ケアラー)など、誰にでも当てはまる可能性があることだと思っております。
新型コロナ蔓延以前から実施されていたとは、先進的ですね!
また、誰にでも当てはまる可能性があること、おっしゃる通りかと思います。
また、私たちのグループ会社(フロンティアリンク株式会社)で就労移行支援もしているのですが、こちらでも新型コロナ蔓延以前から、”在宅訓練”を実施しております。新型コロナが蔓延し、改めて”在宅ワーク”の価値が評価された今、企業様に対して、グループ総出で、テレワークに適した人材のご提案もさせていただいています。
就労移行で在宅訓練とは、初めて伺いました!
株式会社ニュータイプ・ラボー五島列島での地方創生事業
そして実は、私たちの本社は、五島列島にあるんです。五島の地方創生事業のひとつで、五島に本社を構え、五島で「障害者雇用」や「働く人々やその準備期間にある方向けのシェアハウス兼コワーキングスペース」などをさせていただいています。
お仕事のベース、生活のベース、生き直しのベースという意味を込めて、”五島ベース”と呼んでいるんです。五島列島はご存知ですか?
五島列島のことは、もちろん知っています。つい最近、たまたま知り合いから五島列島のパンフレットをいただいたのですが、日本と思えないほどの美しい海と緑に驚きました!
そうなんです。私も何度か足を運びましたが、大変綺麗な場所ですよ。
親元を離れて独立をしたい障害者の方などの方が入島される際には、お引っ越しのサポートなどもさせていただいています。
新たな地方創生のモデルとして、「全国どこにいてもマネジメントは可能」であり、「環境さえ整っていれば誰でも力を発揮して働くことができる」ということを、多くの方々に知っていただければと思っております。
地方創生事業も素晴らしいですね、今後も楽しみですね!ぜひ多くの方に知っていただきたいです。
株式会社ニュータイプ・ラボーコンサルを通して見える変化
”障害者戦力化サポートサービス”として、企業様にコンサルしていく中で、企業様の変化は感じることはありますか?
企業様にコンサルしていく中で、人事の方や現場の方々は、障害のことをご存知ないだけで、「合理的配慮とは?」「目に見えない、精神障害や発達障害とは?」などをお伝えし、その上で、業務切り出しや仕組み化していくだけで、「障害者の方が入社してくれて、この仕事をしてくれて助かった」というお声をいただくことができます。
例えば、同じことを何度も何度も確認してしまう方がいるとします。それが、その方の”特性”なのか、それとも”障害によって引き起こされてしまうこと”なのか、人事の方や現場の方にはわからないことがほとんどです。
何度も聞いてしまって、現場の方の仕事が進まないないようなら、聞き方を仕組み化するようなアドバイスをさせていただき、誰もが力を発揮して働けるように配慮していきます。企業様と障害者の方々の双方のお困りごとを細分化・仕組化し、双方の「力を発揮する」環境を作っていきます。通訳のような役割を担っているんですね。企業様も知ってくだされば、変わってくださいます。
大変考えさせられます。勉強になります!
上野さんのターニングポイント①ー障害者福祉に導いてくれた学生時代
上野さんはなぜ、今のお仕事に就かれたのですか?
障害者福祉で働こうと思ったきっかけは、小学校~中学校の学校での役割と、高校時代のボランティアが大きく影響していると思っています。
小学校から中学を卒業するまで、同じ学校に通う知的障害の子のお世話係を任命されていました。登下校、宿題のサポート、自由研究のお手伝いなどなど、学校に関わることは全て一緒にしていました。当時は、田舎だった事と、時代背景もあり、特別クラスも専門の先生もいませんでした。帰り道は、走っている車に石を投げたり、人の畑の野菜を勝手に食べたりするその子を、なんとか無事に家に送り届けねばならないと、使命感を持って一生懸命に担当していました。
そのサポート全てを、上野さんが1人で担当されていたんですか?
はい、長女だから面倒見がいいと思われたみたいですね。この経験が価値観形成のきっかけの一つになったのではないかと思っています。
高校に上がると、今までの経験からボランティアに目覚め、自閉症の子どもたちと遊ぶボランティアに没頭しました。当時はまだ放課後等デイサービスは制度上にはなく、自閉症スペクトラムという診断名もあまり浸透しておりませんでした。
毎日とても楽しく、どうしたら子どもたちと楽しく遊べるか考えたり、ボディランゲージにトライしたり、試行錯誤してボランティアに励んでいました。ある日、いつものように遊んでいると、楽しそうに遊ぶ我が子の姿を見た親御さんが、涙を流して感謝してくださったんです。間違いなく、私のターニングポイントだったと思います。嬉しいけど、なんだか切ない、今でも私の中に鮮明に残っています。「この子たちのとりまく環境、そしてご家族の環境を整えなければいけない」と強く思いました。
実は私は当時、母親がシングルマザーであったこともあり、「私は、要らない子なんだ」と思うことが度々あったんですね。でも、この出来事がきっかけで、自分の存在を認めてあげあられるようになったことも影響しているかもしれません。
そうだったんですね。上野さんが生まれてきてくださって、本当に良かったです。心から思います。
上野さんのターニングポイント②ー子どもたちの未来をつくる!子どもたちが自ら選んだ仕事に就くために
学生時代の思いから、仕事は、放課後等デイサービスの事業所と決めていました。放課後等デイサービスで経験を積んだのち、同法人の就労継続支援B型の事業所へと異動しました。そこで出会ったのが、事業所を見学しにきた養護学校(今の特別支援学校)の学生たちでした。私からみて、あいさつや基本的なトイレなども自主的に出来そうだなと思う子たちでも、あいさつをしない、トイレに自分で行けない、という状況でした。
先生にお話を伺うと、当時は”障害者だから”という理由で、基本的な教育はほとんどされていないご家庭や学校もあるということでした。これは問題だと思いました。そのタイミングで、新しく放課後等デイサービスを立ち上げる法人があると知り、療育プログラムの制作に一から関わりたいと転職を決意しました。
この療育プログラムの制作では、「肯定的な表現」「褒める支援」「意見の尊重」「前向きな対応」など、療育の基本を学ばせていただきました。実践では、「自己肯定感を育てると、選択する力が身につき、得意なこと/苦手なことが明確になり、何を支援すればいいのかが明確になる」「結果的に子どもたち自身が対処法を体得して、生きる力を身につけていける」ということを学びました。
自己肯定感が、生きる力になる。すべての子どもたちに当てはまりますね。
そうなんです。子育てやマネジメントも、これに尽きると思っております。忍耐も必要ですけどね(笑)。
その後、この放課後等デイサービス事業所で、「こどもたちに職場体験させてあげたい」と思い、自ら企業に掛け合って、床屋さん、薬局、ガソリンスタンド、オフィスなど、さまざまな場所に連れて行きました。こどもたちは目をキラキラ輝かせて、真剣に働く方々の姿を見つめていたんです。とあるオフィスに伺った時、子どもたちが「こんなオフィスで働きたい!」と言ったんですね。
そのオフィスの方にお話を伺うと、「うちは身体障害の方だけで、発達障害の方などはね。。。」と言われてしまいました。とてもショックでした。「この子たちの未来は、もう決まっているの?」「オフィスワークは本当にできないの?」と絶望しました。
この経験から、「この子たちの未来をつくりたい!」と思い、転職を決意しました。
さすが、これで折れないのが上野さんですね!
その転職先が今のグループ会社の就労移行支援でした。社長も同じ考えで、「配慮があれば、障害があってもオフィスで働けますよ」と言っていたんですね。この就労移行支援では、ITに特化していて、通所される方々は、Web制作やプログラミングを学んでいました。先にもご紹介しましたが、在宅訓練もしていました。「この事業なら、あの子たちがオフィスで働ける未来が作れるかもしれない!」と確信しました。
そして、新規事業として、今の”障害者戦力化サポートサービス”を展開することになり、今に至ります。
学生時代の経験と、子どもたちの働きたいという想いが、今の私を作っているんです。
上野さんの、学生時代から今に至るまでの、目的意識のある行動に圧倒されました!
今後は個人としても活動をーエンターテイナー/コンサルとして
上野さんは、今後はどんなお仕事をしていきたいなど、次のステップをお考えですか?
今は企業に属して活動していますが、今後は個人としても活動していけたらと思っています。ありがたいことに、今の会社は個人の活動も応援してくれますので。
放課後等デイサービスから始まり、今の”障害者戦力化サポート”まで、ある種、演者のつもりで仕事をしてきました。そして、今の会社のビジョンに「障害者雇用を、楽しく、明るく、真剣に」というミッションステイトメントがあります。この2つを踏まえて、福祉をエンターテインメントでお届けしていければと思っているんです。
障害をお持ちの方や、そのご家族の方は、悲しいこと・辛いことを経験もあったかと思うんですね。それを跳ね返すほどの笑顔で、エンターテインメントをお届けしたいんです。楽しく明るく。でもふざけているわけではなく、真剣に!
そのために、業界問わずに繋がりを作ったり、Twitterなどで知り合った仲間と一緒にYouTubeチャンネルを作る計画を練ったりしています。
上野さんの笑顔、目の前の人の自己肯定感を育むマインドなら実現可能だと思います!
また、放課後等デイサービスなど、療育に携わる事業にコンサルティングとして入れたらとも思っています。
療育プログラム立ち上げなどの経験をもとに、子どもたちとの関わりの根本を全国に伝えていきたいんです。ぜひ、療育に携わる法人の方々など、ご興味のある方は、ご一報いただければ幸いです。一緒によりよい療育を作っていきましょう!ご連絡をお待ちしています。
貴重なお話、ありがとうございました!
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