福祉の掲示板
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Jobインタビュー

『児童養護施設1年目の視点で、職場の課題と向き合う』児童養護のたまごさん/Jobインタビュー vol.2

今回は、児童養護のたまご(以下、たまご)さんにお話を伺いました。なんと、この4月に児童養護施設に入職したばかりというたまごさん。新しい仕事や生活に適応しながら、日々の業務の傍ら、実際に児童養護施設で働く人たちとの『交流会』開催を計画するたまごさん。そんなたまごさんの、児童養護への道のりや思い、交流会を通して成し遂げたいことなどを聞いてみました。

『児童養護』との出会いー児童養護施設の魅力

管理人

はじめまして、どうぞ、よろしくお願いします!早速ですが、児童養護に興味を持ったのはいつですか?

たまごさん

初めはマスメディア業界を目指して大学に入り、社会学を学んでいましたが、保育園でのアルバイト経験から、保育の仕事に興味を持つようになりました。子どもの成長を間近で見れる保育士という仕事に魅力を感じました。

その後、大学を卒業して保育士養成学校に入学した時に、初めて「児童養護」という言葉を知りました。そこから、学習ボランティアやインターンシップで、児童養護施設に足を運びました。
そこで乳幼児だけでなく、幅広い年代の子どもたちと関わる児童養護施設の仕事に、魅かれていったんです。保育士養成学校を卒業してから、すぐに児童養護施設で働けることになりました。

児童養護施設1年目のお仕事内容

管理人

新たに学校に入り直して、保育士、児童養護と、道を進めてこられたのですね!

お仕事を始めてから1ヶ月。今のお仕事内容を教えていただけますか?

たまごさん

保育士という立場で、子どもたちの衣食住の環境を整えることが仕事です。洗濯や掃除、食事の用意などはもちろん、育成方針に沿って、また、子どもたちのそれぞれの課題に応じて、子どもたちと接しています。

また、私が所属している施設は、保育士・指導員自らによる食事作りに力を入れています。この仕事に就くまで実家暮らしだったこともあり、料理をほとんどしてきませんでしたので、7~10人分の必要量を計算して、野菜等を下拵えすることにも四苦八苦しながら取り組んでいます。

子どもの味覚はシビアなもので、「不味いものは不味い」とはっきり言いますよね。ですので、子どもたちに出す前に、密かに試作品を作った上で提供しています。

管理人

とても努力家なのですね!たまごさんの愛を感じます。子どもたちと接する上で、大事にしていることなどあれば、教えてください!

たまごさん

施設の子どもたちは、入所以前、養育者から虐待を受けていたり、複雑な家庭環境であったりする場合が多くあります。私が発する言葉で過去の思い出をフラッシュバックしたり、また、私の発する言葉を真似したり。そのようなことも考慮しながら、子ども達と会話する時は、脳内裁判(自分会議)をして、言葉選びを心がけていますね。

児童養護施設1年目でのやりがいとは

管理人

お仕事をする上で、どんなことがやりがいになっていますか?

たまごさん

まだ働き始めて1ヶ月もたっていないので、なかなか胸を張ってやりがいと言えることはありませんが、強いて言えば、最近感じるようになった、私と子どもとの距離感の変化です。

管理人

どのような変化があったのですか?

たまごさん

「ゲーム取って」「おやつ用意して」等のちょっとした要望を、私に向けてくれるようになったことです。初めの1週間は、目の前に私がいても、わざわざ遠くにいる私の指導者である先輩に物事を依頼したり、話しかけたり。もちろん私は新人なので、子ども達側からの配慮もあったかもしれません。信頼されていないのかな…と、とても悲しくなりました。

だからこそ今は、この変化には喜びを感じています。そして、基本的な業務を習得しなければならないという現実を受け入れ、日々向上に努めています。

児童養護施設1年目の視点から捉える課題とは

管理人

子ども達や自らの変化に触れて、さらに鼓舞されるなんて、素晴らしいです!
実際に働いてみて、見えてきた課題などあれば、お聞かせください。

たまごさん

もしかしたら、愚痴に聞こえてしまうかもしれませんが、残業前提の業務量であることは課題であると感じています。残業代が支払われない職場なので、モチベーションが下がる要因になってしまっていることは事実です。

理念に沿って、また、子どもたちに寄り添って働くことに意義は感じますが、業務量を含めた、従事者の利益も考える必要があると思いました。

管理人

その問題の背景には何があると感じましたか?

たまごさん

もちろん人手不足もあると思いますが、この業界の自己犠牲の慣習も影響していると思います。

また、定例の会議の時間設定が曖昧でダラダラしてしまうというような、私の職場特有の問題もありますね。

管理人

働いて1ヶ月で、課題とその背景を見出している。働いているうちに、たまごさん自身が、それに飲み込まれないよう、たまごさんからの革命が起きることを応援したいです!

たまごさん

そのほかにも、「児童養護」の存在が、世間にあまりにも知られていないこと、児童養護施設の子ども達への偏見なども問題に感じています。多くの方に地域の児童養護施設などに足を運んでもらい、子ども達に触れてもらいたいですね。

管理人

ありがとうございます!今後の抱負などあれば、教えてください!

たまごさん

まず半年単位の目標では、基本的な業務を効率良くこなすことです。あらゆる業務を効率よくこなし、子ども達との関わりの時間を確保したいです。

そのためにも、料理とタイピングの能力向上に努めたいと思っています。今は料理の時間は料理に手一杯になってしまっています。子どもたちと楽しく会話しながら、手元では包丁で野菜を切っている…そんな姿が理想ですね!

タイピングに関しては、単純に早く事務仕事をこなせるように、ブラインドタッチをマスターしたいです。

管理人

素晴らしいですね!中期目標、それに対する自分のすべきことが明確で、社会人1年目のお手本とすべき姿だと思います!

児童養護施設で働く人たちとの交流会を開きたい

管理人

ところで、今度『交流会』を開催する企画があるということですが、どんなことをするのですか?

たまごさん

入職1年目の職員や、その他、児童養護施設に興味ある方を交え、オンライン交流会をしたいと思っています。詳細はnoteを見ていただければと思いますが、ぜひ、興味がある方は、twitternoteでご連絡くださいね。

管理人

この交流会は、どうして開催しようと思ったのですか?

たまごさん

初めは、入職して1週間の時に、業務量や残業について、思い描いていた仕事とのギャップなどに疲れてしまい、同じような人たちと話してみたい!と深夜にツイートしたことがきっかけでしたね(笑)。

その後、同じような境遇の方や、1年目以外の方からもご連絡をいただき、本格的に交流会を実施する流れに至りました。

管理人

とても素敵な活動だと思います!ぜひ、今度は、交流会が数回開催された際に、またお話お伺いしたいです!

今後の交流会の目標などあれば、教えてください!

たまごさん

まだ開催前ではありますが、ゆくゆくは、交流会を継続して実施していき、「児童養護施設の周知」、「児童養護施設の職場環境の改善」、「児童養護施設で働きたいと思う方に対する進路の一考となる交流会の開催」を目指していけたらと思っています。

管理人

とても貴重なお話、ありがとうございました!