福祉の掲示板
誰一人取り残さない社会を目指してー福祉に関わる仕事や活動をする方向けに、インタビュー記事や、仲間を募集する掲示板を掲載しています。福祉に関わる方々に、新しい一歩や気づきの『きっかけ』をお届けできますように。
Jobインタビュー

『同業者連携ー利用者さんを地域全体で支える社会を目指して』小山けんいちさん/Jobインタビュー vol.4

今回は千葉県で福祉事務所を運営する、小山けんいちさんです。地域の同業者同士で連携し、利用者さんを地域全体で支える社会の必要性を訴える小山さん。地域で福祉の仕事をする小山さん個人として、福祉の仕事に至った経緯やその後のご経験、そして今後小山さんが目指す社会についてなど、オープンな雰囲気でお聞かせくださいました。

人と環境の相互作用を学びたい!ー心理学への道と挫折

管理人

初めまして!小山さんは福祉事務所を運営されているとのことですが、ずっと福祉のお仕事をされているのですか?

小山さん

そうですね、福祉の仕事しかしていませんね。そして例外を1つ除いて、既存の施設に就職したことはないんです。

管理人

既存の施設に就職したことがない…?どういうことですか?とても気になります…!
まずは、福祉の業界に興味を持った経緯から教えてください!

小山さん

そうですね…せっかくですから、高校生の時に遡って…
高校生の時に、いわゆる中二病のようなことを経験しました。『自分は、人の気持ちを理解する能力に長けているのではないか…』と思うことがありました。
また、教室の掃除の時間、掃除しやすいように机の上に椅子を乗せますよね。でも、ひとつだけ椅子が乗っていなかったんです。その椅子を僕が机に乗せました。その時の自分の行動に、『なぜ椅子を乗せたのか?』『自分は誰かに認めてもらいたくてやったのか?』『自分は誰かの意思に左右されて生きているのか?』と、思い悩んだことがありました。

悩み尽くした結果、『僕は誰かがいないと生きていけないんだ!』『人と環境の相互作用について学びたい!』と強く思い、進路を哲学か心理学に絞ることにしたんです。最終的には、心理学に進むことにしたのですが。

管理人

高校生で『人と環境の相互作用』を学びたい!と思うあたり、なんとも興味深いです…

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いよいよ、心理学が学べる!とワクワクして大学に向かいました。そして授業が始まると、教授は開口一番『自分をもっとよく知りたい、とか、自分探しと思って勉強に来ているのは間違いですからね。すぐに辞めたほうがいい』と言い放ったのです。衝撃的でした。

心理学は、行動科学で、数学や統計学を用いて学んでいきます。つまり、私が想像していた心理学と、実際の心理学は違っていたんですね…挫折して、真面目に学校に行く気には到底なれませんでしたね…

転機は恋ー自閉症との出会い

管理人

なるほど…向かう先がなくなってしまったのですね…

小山さん

はい、でも転機がありました。恋です。彼女ができて、彼女の部屋でビデオを観る機会がありました。当時の彼女は自閉症に関するゼミに入っていて、観るビデオはきまって自閉症関連でした。当時は「つまらないな…」と思いつつも一緒に観ていました。また、自閉症を学ぶために当事者の元に、彼女と一緒に出向くこともありました。気がつくと、自分が自閉症に興味を持ち始めていたことに気が付きました。ちょうど、授業で「自閉症と就労支援」というものがあり、その授業が特に興味深かったことも影響しています。

まぁ、私が彼女と同じことに興味を持ち始めた時には、彼女は、私の勉学への不真面目さ(心理学に挫折してしまっていたので)に呆れて、私の元を去っていったのですが…(笑)。

管理人

なんと、当時の彼女との出会いが、自閉症を知るきっかけや、福祉業界への入り口となったのですね!

初めての仕事は法人立ち上げ

小山さん

そういうことになりますね。とはいえ、心理学への挫折が大きかったこともあり、卒業後は特に就職もせずにいました。すると父から、「何もしていないなら、社会貢献でもしたらどうか」という話をされました。このままだと実家を追い出されるなと思ったので(笑)、インターネットで地元のボランティアを調べて、一番上にヒットしたボランティアに応募しました。意図せずして、学生時代に興味を持った就労支援や、今の生活介護などの施設でした。


そこで一緒にボランティアなどをしている仲間から「一緒に社会福祉法人を作らないか?」と誘われました。「面白そう!」と思い、二つ返事で参加することになりました。

管理人

なるほど、就職せずして、福祉の業界に入られたのですね!はじめに、就職したことがない、というのは、このことだったのですね。

小山さん

その後、法人も大きくなっていって、自分の飽きっぽい性分もあり、また新しい組織を作りたいと思い始めました。そして、志を同じくする仲間と一緒に、法人を立ち上げることになりました。新しく立ち上げた法人でも次第に、違和感を感じ始めました。当時は、自分のカラーを出したかったというか、自分が中心となって動きたかった、というか。

そんな思いの中、自分や組織の「こうあるべき」の概念が固定化されていくのが、すごく目に付いったんです。今後の事業展開も難しいかもしれないと感じたり、仲間の意見に対して歩み寄れないことが増えてきました。今思えば、周りの人たちも、やりにくさがあったかもしれませんね。

管理人

自分のカラーを出したい、というのは、誰しもどこかで持っている部分かもしれませんよね。自分にも身に覚えがあります。

人生初の就職!ーでぃぐにてぃでの経験

小山さん

辞めることを決意して、その後のプランを考え始めました。「独立して相談支援の事業所を作る」「ケアマネとして独立する」など、色々思いをめぐらせていました。また、実は辞めると決意する1年ほど前に、別のバンド仲間と立ち上げた法人もあったので、そこに専念することも考えました。そんな時、twitterで見つけたのが、この投稿でした。

管理人

経理ですか!福祉関係の法人だったのですか?これが、就職したことにない小山さんが、例外で就職したお話ですね!

小山さん

はい、詳しくはblogを読んでいただければと思いますが、でぃぐにてぃで経験させてもらえたことは、間違いなく、今の仕事観に大きく影響していますね。現場への思い、自分への思い…など、多くのことと向き合う時間となりました。

管理人

そうだったんですね…。そこから今のお仕事に至った経緯を教えてください!

小山さん

もともとでぃぐにてぃでは、「8月からスタートして3月まで」という8ヶ月の限定で働かせてもらうということを了解してもらっていました。4月からは、自分で仕事をしようと決めていたんです。でぃぐにてぃでの仕事を見つける前に考えていた計画を実行しようと思っていたんです。

色々と試行した結果、でぃぐにてぃを卒業した今は、以前バンド仲間と立ち上げていた法人で理事として戻ってきた形になりました。

管理人

とても濃い8ヶ月間だったのですね!でぃぐにてぃでのご経験も気になります!blog読ませていただきます!
バンドもされているんですね!多彩ですね…!

小山さん

はい、バンドは、福祉の仲間とのバンドと、パパ友とのバンドの、2つに所属しています!

今後の目指すものー同業者連携

管理人

現在のお仕事において、目標などあれば教えてください!

小山さん

我々のエリアは、大きい社会福祉法人もあるが、規模がそこまで大きくない社会福祉法人がとても多いんです。家族経営も多い。それ自体は悪いことではないのですが、やはり小さな法人だと、1人の利用者さんの人生全てを支えられないんですよね。限界があります。


サービスが途絶えたとしても、利用者さんの人生は続いていくんです。ひとつのサービスの前後の生活もある。そして、これから先ずっと利用者さんの人生がある。切れ目なく利用者さんに寄り添えるように、地域の仲間と連携していく必要があると考えています。


実は既に活動を始めていて、自分たちの法人だけでは提供しきれない部分を連携できるように、地域の志が近い事業者さんを開拓しています。

そうですね。利用者さんを、地域全体で支えられるようにしていきたいですね。みんなで協力していけるような形を目指していきます。

管理人

とても重要なことですね。社会福祉士取得の際に机上で習った、連携やネットワーキングのお話を聞けて嬉しいです。

小山さん

あとは、後継者を作っていきたいですね。福祉の業界って閉鎖的で、ボランティア精神のような、悪しき慣習を続けているところも多いんですよね。それを理解した上で、いい意味で一緒に壊していけるような、この業界を担っていってくれる人たちを作っていきたいですね。

管理人

とても共感します。知れば知るほど、この業界がクローズドすぎて、驚いています。もっともっと開かれるべきだと感じています。

小山さん

そしてもう一つ、これは読者の方へのメッセージにもなるのですが、これから、地域で生きること、地域で働くことが、ひとつの形として認められつつある。地域で連携する、繋がる、そんな私の働き方をみて、『地域で働く』ということの参考にしてもらえたらと思っています。

管理人

とても貴重なお話ありがとうございました!

小山けんいちさんのtwitterはこちら!
twitter

記事で紹介があった法人はこちら!
でぃぐにてぃ